タルティーヌやパンに合うお料理をメインにした小さな教室です。
料理に興味を持ち始めたばかりの頃、何層もの厚みのある有名なフライパンや鍋にトキメキ、高価な重たい鍋こそ料理上手!と購入していた。確かに厚みのある高価な鍋は美味しくできたし、保温効果もあり煮込み料理の味の馴染みも抜群だった。しかし、歳を重ねたある日。実家で食べた煮魚の美味しさに驚いたのだ。もちろん料理は年の功とも言う。私は母が参加していた鹿児島県人会のおばさま達の料理も、料理する様も好きだった。長年の手慣れた手付きと目分量で、じゃんじゃん美味しいものが作り出される。歳を重ねるって素晴らしいなっと度々思うのだ。実家にて、母の煮魚料理を見ていると、かなりダイナミックに作っていた。そして使用する鍋はいつも薄くて軽い雪平鍋だ。どうして雪平鍋を愛用しているのかと聞くと、火の当たりが良く、水分の蒸発が早いと言う。そういえば、以前ラジオで『分とく山』の野崎さんも同じことを言っていたな。「火の当たりが良く水分の蒸発が早い。」私は早速、雪平鍋を買いに行った。デパートの鍋売り場には、雪平鍋だけでもすごい種類があり、造られた産地、作った職人さん、ガス対応、IH対応・・・迷うのも楽しくなる数々だった。大き目の切り身が3つ入る程度のものを購入。美味しそうな「真子がれい」の煮付けを作る。手持ちの落し蓋も丁度合う。落し蓋の淵からもこもこと煮汁が立ち、外してからはあっと言う間に汁気が飛び、とろみのある煮汁が残る。本当に「火の当たりが良く、水分の蒸発が早い」のだ。実家の母が大きな大きな雪平鍋で、こ吹き芋を作る様子を思い出す。茹で汁をサッと捨て、鍋を両手で持ち、上下に振る。芋のまわりに残る水分を飛ばすのだ。そっかそっか。日本人に長年愛用されてきたお鍋には、その風土やその土地でとれる食材を、最も美味しく調理することに長けているのだ。私も、もっともっと使いこなせるようにならなくては。
和食懐石料理教室「手まり」アシスタントを担当する傍ら、
2008.3月さいたま市の自宅キッチンにてcucin amicaタルティーヌ教室をオープンする。
2013.5月自宅近くの小さなアパートメントにて料理教室専用スペース「cucin amica302」をオープン。