かんたん薬膳ごはん

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中医師と国際中医師の違い、ご存じですか?

高橋 育子 先生のブログ 2022/4/27 18:52 UP

最近見かける①「中医師」や②「国際中医師」。
もう一つおまけに③「国際中医専門員」というのもあります。
かくいう私は②「国際中医師」の資格を持っていますが、その違いをご存じな方って、意外に少ないと思います。普通の医師と何が違うの?そう思われる方も多いですが、日本ではすべて「医師」ではありません。(日本の医師免許またはそれ同等の資格を有していると厚労省が認可して医師免許も保有している方もいるので、その方は国内でも医師です。)日本では医師ではないので、単独に上記①~③の資格だけを持っている方は医療行為を日本ではできないので、体を触るなどの診察行為や施術、投薬などは医師法に触れるので出来ません。その違いを具体的に一つずつ見ていきましょう。①中医師中医師資格を取得するには、私が知っている限り2種類の方法があります。
一つは、中国の医科大学を終了し、大学病院などで臨床経験を積み、医師免許を中国で取る方法。これは、日本の医師免許の取り方と同じですね。もう一つは、日本などで②国際中医師資格を取得後、中国語学校などで中国語を一定レベルまで学習し、中国の医科大の編入試験に合格すると(私が取得した2014年頃の話)、3年間の実習と医科大の学習を終え、試験に合格すると中医師資格が取得できます。中医師は、中医学(中国の伝統医学、漢方や鍼灸など)の専門医師として、中国圏の病院では、西洋医学科と東洋医学科があり、患者の状態によって西洋医学か東洋医学のどちらか、または両方で治療できます。それぞれ得意分野が違うので、いいとこどりなんですね!
両方の免許を持っている医師が最強ということになります。ちなみに、中医師は手術などがないため、西洋医学の医師よりお給料が少ないらしく、やはり西洋医学の医師の方が中国でも地位が高く人気で資格取得も難しいようです。また、日本で医師免許を持っている方が、交換留学などで中国で免許を取れる場合もあるようで、日本の医師で中医師資格のある方は、このケースが多いようです。②国際中医師こちらは、世界中医薬学連合会という北京市にある政府系任意団体が発行している国際資格です。
世界中医薬学連合会は、以前は中国の厚労省にあたる衛生局の中にあったようですが、現在は一般の任意団体です。この団体が薬膳資格の認定もしています。日本で取得するには、国際中医師アカデミーのような通信教育や、中国の大学の日本校などで一定時間(1~3年)受講し、世界中医薬学連合会の試験に合格すると、取得できます。また、同時に北京市の公正証書も作成します。
こちらも、私が取得した時は、世界136ケ国くらいで、「一定の中医学の知識を有すると中国で認められる」ことが条件で資格認定されていて、当時は数カ国で医師として働いたり、中国語試験に合格して中国の医科大の臨床を3年以上行うと、中医師試験が受験できるとか言われていました。でも、単独で持っているだけでは日本では医師ではないし、持っているからと言って病院で働くことはまずなく、漢方薬局で働けたらラッキーと言う感じです。③国際中医専門員こちらは私はあまり詳しくないのですが、イスクラと言う漢方薬局チェーンの薬局に勤めている方が取得講座に必要単位数を取得し、試験に合格すると取得できるようです。こちらの発行団体は世界中医薬学連合会ではなく、その傘下にある団体が認定しているようです。イスクラチェーンの薬局にお勤めの方だけが受講できるので、一般の方は受けられません。仕事=資格に結び付くのが利点ですね!さて、取得期間は人にもよりますが、①~③の順に短くなります。標準で2年くらいはかかると思います。受講料は、通学や通信かで変わりますが、大体30~60万、その上に資格試験料が20万程度、公証代が10万程度かかります。また、試験の監督が中国から来られる関係で、受験人数により試験回数が変わり、通常は年2回しか試験がなく、毎年あるとも限らないため、日本国内で試験が行われない場合は、中国や海外で受けることになり、その旅費等も別途必要です。(③は、国内で受験できます)国内で受験する場合はオール日本語でOKです。
金額も馬鹿にならないですよね・・・・試験内容①~③の順に簡単になりますが、方剤学、生薬学、基礎中医学、弁証学、内科学の5教科と一部小児科学・婦人科学を学習しなければならず、真剣に1日2~3時間を2~3年勉強しないと難しいです。西洋医学を勉強した方でも、考え方が少し異なるので、つまずきやすく、しっかり学習が必要なので、相当な熱意と努力が必要です。実際に中医師資格で仕事をされている方は、中国の病院に勤務するか、日本の医大か薬科大で教鞭をされている方、日本で医師免許を持っていて漢方医や内科医などの病院勤務の方がほとんどです。
国際中医師、国際中医専門員資格をお持ちの方は、漢方薬局や鍼灸院、製薬会社などで働く薬剤師や鍼灸師、登録販売者などのW資格があってお仕事をされている方や、健康系ライター、薬膳講師などで活躍されていることが多いようです。
収入面は、医師、薬剤師、鍼灸師、登録販売者などのWの資格によって大きく変わりますが、国際中医師資格があるからと言って、収入がアップしたという話は、残念ながら一つも聞いたことがありません・・・・。資格取得に大金と長時間がかかり、取得後の金銭的なメリットがほぼないというコスパは悪い資格ですが、多くの方がそれでも取得するのは、「楽しい」「面白い」からです。
難しいですが、自分や家族の不調の原因がわかり、人にアドバイスすることで喜ばれる、そんな体験が増えるのが楽しかったり、中医学の学問自体が哲学に近く奥が大変深く、人間の真理や自然の摂理の素晴らしさなどに気付ける一端があり、多くの方が魅了されるのだろうと、私は思います。いろいろなお仕事とも繋がりがあり、少し視点が広がってくるような資格なので、興味がある方はデメリットをしっかり踏まえてチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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