“お家で手軽に素敵なおもてなしをしましよう!”というコンセプトの季節のおもてなし教室です。
こんにちは。茶道体験の銀座 茶禅です。
今日は5月2日。 二十四節気の「穀雨(こくう)」、七十二候の「末候 牡丹華(ぼたんはなさく)」にあたります。
ゴールデンウィークが始まりましたね。
外出が叶わないので日本の美しい四季の自然の移り変わりをゆっくり楽しむことは出来ませんが、短い時間でも買い物や散歩に出ると、美しい新緑が目に入ってきて5月を感じますね。
茶道は日本の美しい四季を愛でる伝統文化と言われています。
お茶室の中にお道具やお花などで季節感を出してお客様に心づくしのおもてなしをします。
なかでもお菓子は、デザインの見た目だけでなく旬の素材の味わいでお客様に四季を告げる、という大きな役割があります。その高い芸術性は海外のお客様も心から驚かれます。日本が誇る芸術の極みですね。
茶道で使われるお菓子にはどんな種類があるのか、四季を表すお菓子の例と共にご紹介していきます。
食べるのが勿体ないと思ってしまうほどの美しいお茶菓子
茶道のお菓子は「主菓子」と「干菓子」の2種類
茶道のお茶会で頂く一連のお茶は濃茶と薄茶の2種があり、合わせるお菓子も2種あります。
濃茶には主菓子(おもがし)、薄茶には干菓子(ひがし)という組み合わせが基本です。
ただし、薄茶だけ頂くような席では主菓子を出すこともあります。
茶禅の茶道体験では薄茶を差し上げてますので、主菓子を出させていただいております。
主菓子に使われるのは薯蕷饅頭や季節の情景を美しく表現する様々な上生菓子
主菓子に使われるのは、もち米・葛などに砂糖などを混ぜて蒸したものを練って作られます。
和菓子屋さんの創造力とこだわりによるバラエティ豊かな製法とデザイン、上品な口当たりと味わいで私達の味覚を豊かに楽しませてくれます。
あんこを使っており水分も含んでいるので日持ちはあまりしません。
主菓子の一例
・薯蕷饅頭:上用饅頭ともいいます。饅頭の中でも高級なもので贈答用に使われます。
・こなし(練り切り):白餡に求肥や山芋などのつなぎを入れて着色して成型したものです。
色もデザインも圧倒的に自由度が高いためお茶会などでよく用いられます。
・きんとん:笊で粗く漉しそぼろ状にした餡を箸で寄せて丸くしたものです。
色で四季の風物詩を表現します。
・羊羹:寒天を溶かして餡と砂糖を加えて固めたものです。
・錦玉羹(きんぎょくかん):寒天を溶かして砂糖を加えて固めたものです。
透明な美しさを生かして中に様々なモチーフを入れることができます。
東京・赤坂 とらや の「薯蕷饅頭」
干菓子はまろやかな口どけと繊細なデザインが魅力
干菓子は水分を含まない日持ちのする和菓子です。
一口で食べられる小ささですが、そのデザイン性は生菓子にひけをとらない存在感があります。
干菓子の一例
・打菓子:和三盆糖を木型に詰めたものです。
色もカラフルで、木型次第で素敵なデザインのものが沢山あります。
・琥珀糖:寒天を煮溶かし、お砂糖と色素を加えたもの。
食べる宝石といわれるカラフルな美しさがあります。
・金平糖:砂糖と水分を原料にした、表面に凹凸状の突起をもつ小球形の和菓子です。
・洲浜(すはま):煎った大豆粉を砂糖と水飴で練り上げたものです。
京都 鶴屋吉信 琥珀糖 【IRODORIシリーズ】
お菓子が魅せる季節感に亭主の思いを馳せる
季節を表しているかどうかを先ずみてみましょう。
ぱっと見ただけで季節がわからないようなら、何か隠されたテーマがあるかもしれません。
お菓子を出されたときに、亭主がどのような考えでお菓子を決めたのか思いを馳せてみると、より一層楽しめます。
季節を表したお菓子の例
春
主菓子:
桜や春の花、新緑を表したお菓子が用いられます。
同じ桜でも、こなしやきんとんなど、様々な素材で咲き始めから満開、散り際まで表現されます。
東京・赤坂 塩野 左が「花衣」、右が「花吹雪」
干菓子:
チョウチョウや早蕨がよく用いられるモチーフで、春の訪れを感じさせます。
和三盆の産地、香川県 賽月堂 「蝶々」「早蕨」「桜」
夏
主菓子:
お花では紫陽花やひまわりのモチーフがよく見られます。
海や山など、夏休みに関連したお菓子も登場します。
清涼感のある水まんじゅうや羊羹も用いられます。
京都 末富 左は「紫陽花」、右は「七夕」
干菓子:
浜千鳥や水紋、青海波といった水に関係するモチーフが多いです。
涼やかな雰囲気を演出します。
東京・神田 さゝま 左は「青楓」、右は「水」
秋
主菓子:
紅葉を表したものがたくさんお店に並びます。
紅葉も、きんとんで満開の1本の木を表すもの、山を遠くから望む景色を表すもの、
こなしで1枚の紅葉や楓を表すものなど多様な表現の仕方があります。
京都 甘春堂 左は「錦秋」右は「木守(柿のこと)」
干菓子:
「吹き寄せ」は最も秋らしいお菓子です。
カゴに落ち葉を集めるように、カゴ型の菓子器に紅葉や松葉、銀杏などの干菓子を入れます。
整然と並べるのではなく、まるで落ち葉を集めてきたかのように盛られており、
菓子器とお菓子全体で情景が表現されています。
愛知県・半田 松華堂 「吹き寄せ」
冬
主菓子:
霜が降り、雪が積もる情景を表したものが多いです。
一方、クリスマスやお正月、節分などのイベント時には色鮮やかなわかりやすいデザインのお菓子が多く見られます。
滋賀・近江八幡 たねや 左はお正月の初釜で用いられる「花びら餅」右は椿をモチーフにした「冬一輪」
干菓子:
雪の結晶や霜柱といった冬ならではのモチーフや、松や柊といった常緑樹をかたどったお菓子が用いられます。
宮城県仙台 玉澤 「霜柱」
四季のお菓子の例をいくつか挙げましたが、お茶会自体にテーマがある場合は、テーマに沿ったお菓子が出されることもあります。
例えば万葉集がテーマのお茶会の場合は三輪山(奈良にあり、万葉集に登場する山)を表した主菓子と、歌を書き残した書物を表現したお干菓子、というような取り合わせが用いられます。
お菓子は自由度が高く、お茶会ごとに用意されるのでその日の趣向を楽しみましょう。
お菓子の銘にも注目して
お菓子にどのような名前がつけられているか聞いてみましょう。
例えば桜を表したお菓子に「桜」という銘をつけることは少ないので、情景や情感を表す銘を聞けるはずです。
亭主は考えに考え抜いて銘をつけているので、どんな風情をその銘に託したのか想像してみるのもお茶会の楽しみの一つです。
お茶席でのお菓子の頂き方
主菓子の頂き方
主菓子は、正式には、縁高という正方形の塗りの器に一人一本ずつ黒文字という楊枝が添えられ、茶席の一番始めに運び出されます。
お茶会では上座の正客から懐紙を取り出し、一つずつ菓子を取り、次の人に菓子器を回していきます。
お菓子が先に出されるため、いつ食べたら良いのか?という疑問が良くありますが、亭主が「どうぞお召し上がりください。」とお点前の間に声をかけてくれるので、それがいただくタイミングです。
懐紙にお菓子を取りましたら、添えられている黒文字で、3~4つに切り分けていただきます。
干菓子の頂き方
干菓子は原則では二種類出します。塗物の干菓子盆に人数分以上の数の菓子を盛り合わせています。
干菓子も正客から順番に回ってきますので、客は自分の所に菓子盆がきましたら懐紙に種類を一つずつ取り、指でいただきます。
お茶とお菓子をいただく順番
前回のブログでも書きましたが、お菓子とお茶は交互に食べてはいけないの?と思われる方もいらっしゃると思います。
茶道のマナーでは、お菓子が先、抹茶が後です。
何故かというと、茶道では抹茶がメインであり、お菓子はあくまでも「お茶の引き立て役」だからです。
抹茶は苦味があるので、和菓子の甘みを口の中に残しすことにより、抹茶を飲んだ時により一層、おいしく感じることができます。
いかがでしたでしょうか。
茶席での和菓子は、目で楽しみ五感で季節の訪れを感じるだけでなく、お客様を思って用意した、亭主の「おもてなしの心」を感じる事ができます。
時には日々頑張っている自分のために、和菓子と抹茶でゆっくりと季節の流れを感じてみてはいかがでしょうか? 癒し効果もバツグンですよ。
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