大分エデルパン教室 ぱなん
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「母さんはちんこいけど、心はでっかい人」──三浦綾子『母』を読んで
あなんゆうこ 先生のブログ 2025/7/15 8:38 UP-
こんにちは。
大分市わさだエリアで、エデル(笑出る)パン教室を主宰している阿南祐子です。
そうだ、本を読もう!
最近、息子が急に小説を読みはじめました。
これまではずっと漫画ばかりだったのに、アニメのノベライズ本を夢中で読んでいる姿を見て、
「おー!なんかいいやん!」と、思わずニンマリ。
「じゃあ、わたしも何か読んでみようかな」
そんな時、気になっていた本がありました。
それが、三浦綾子さんの『母』。
堀井美香さんの朗読劇で紹介されていたのを思い出して、「いつか観てみたいな」と思ったのがきっかけです。
軽いミーハー心から読み始めたけれど、そこに広がっていた世界は、想像以上に深くて、優しくて、尊いものでした。
「母さんはちんこいけど、心はでっかい人」
これは、作家・小林多喜二が、自分の母・セキさんを表した言葉。
「ちんこい」は「小さい」という意味です。
でも彼女の生き方には、本当にでっかい心がありました。
秋田の小作農家に生まれ、実家の蕎麦屋を手伝いながら育ったセキさんは、結婚後、義兄の計らいで北海道・小樽へ。
夫とともにパン屋を営みながら、5人の子どもを育て上げます。その中のひとりが、多喜二。
彼はプロレタリア作家として注目されましたが、戦前の言論統制の中、特高警察に逮捕され、29歳という若さで命を落とします。
『母』は、そんな息子を持つ母・セキさんの語りを通して描かれた、実話をもとにしたノンフィクションです。
文字が読めなくても、物語は楽しめる
セキさんは、自分では文字が読めませんでした。
けれど、子どもたちに物語を読んでもらうのが大好きで、実家の蕎麦屋でのお客さんとのおしゃべりも、毎日の楽しみだったそうです。
生活は苦しく、決して裕福ではなかったけれど、誰かを羨むでもなく、ひがむでもなく、今ある幸せをちゃんと味わって生きる、そんなまっすぐな姿がとても印象的でした。
女性の自由を守る、ということ
忘れられない場面があります。
多喜二が、酒場に売られていた女性・タミちゃんを助けたいと、母に打ち明ける場面。
後に、彼は彼女を身請けし、生活を支えますが、
「今プロポーズしたら、きっと彼女は断れないだろう。まずは自由に生きてほしい」と言います。
その話を聞いたセキさんも、タミちゃんをわが子のように迎え入れ、タミちゃんの境遇を悲しみ、哀れみながら、何の偏見もなく、やさしく寄り添います。
そこには、女性の自由や尊厳を大切にしようとするまなざしと、それを自然に受けとめる母の在り方が、静かに描かれていて、胸がいっぱいになりました。
子どもを信じる
セキさんは、多喜二の選択を否定しません。
「多喜二が言うことなら、間違いない」と、そっと背中を押します。
先入観のないまなざしで、ただ子どもの想いを信じて見守る。それは簡単なようでいて、本当はとても勇気がいること。
でもセキさんは、それを自然にできる人でした。
母としての強さと、ひとりの人としての器の大きさに、心から尊敬の気持ちが湧きました。
1人の女性の在り方が、世の当たり前を動かした
この物語は、愛する息子を失うという、辛く悲しい結末です。
でも読み終えて思ったのは、セキさんの在り方が、きっと“世の当たり前”を少し動かしたということ。
学歴も信仰もなくても、ただ誠実に、人としてまっとうに、思いやりを忘れずに生きることが、こんなにも心に響くんだと、教えてくれた気がします。
この夏は、親子で“静かな読書時間”を
もう、読み聞かせをする年齢ではなくなったけれど、子どもが横で本を読んでいるこの時間が、なんだか尊く感じました。
この夏は、同じ空間で、それぞれの本を開く時間を大切にしてみようと思います。
特別なことじゃなくても、ページをめくる音や、
物語に夢中になる表情を見ているだけで、心がなんとなく満たされる気がします。
まとめ 静かにまっすぐ生きるということ
三浦綾子さんの『母』を読み終えて、何より心に残ったのは、セキさんの静かでまっすぐな生き方でした。
人を決めつけず、世間の目よりも自分のまごころに従って、日々を誠実に生きる。
貧しくても、文字が読めなくても、子どもを信じ、周囲に思いやりをもって接するその姿には、たくさんの「強さ」と「やさしさ」が詰まっていました。
母として、女性として、そして一人の人間として、
わたしもこんなふうにありたい。改めてそう思わせてくれる1冊でした。
この夏は、わたし自身も、そして子どもとも、静かにページをめくる時間を大切にしたいと思います。
パン教室で出会う親子さんたちにも、
同じ母として、エールを届けられるような
安心できる存在でありたいなと思っています。
そんな気持ちから、今日は珍しく読書感想文を書いてみました。笑
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あわただしい毎日の中でも、ちょっとだけ深呼吸できる、そんな夏休みになりますように。
『講師プロフィール』はじめまして。 大分市田尻大分エデルパン教室ぱなん講師の阿南祐子です。 エデルパンとは、切ったら切り口に金太郎飴のように絵柄が現れる、ユニークで楽しい…ameblo.jp
『子どもの心を育てる!やる気スイッチをキープ!個性を開花させるママの力を発見。』こんにちは。 大分市で切ったら絵が出るパン「エデルパン」の教室ぱなんを主宰しております阿南祐子と申します。 先日、子どもが赤ちゃんの時からお付き合いがある…ameblo.jp
先生情報 |
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あなんゆうこ |
結婚を機に家族のためにパン作りを始めた。息子の野菜嫌いは野菜入りのパンをきっかけに克服。SNSで出会った野菜入りで可愛いパンの世界に魅せられて独自に研究を重ね習得。マスコミ取材を機に改めて資格も取得し、自宅でパン教室を始める。自宅教室のほか、企業やカフェの提供で外部でのレッスンも行なっている。 プロフィール詳細をみる |