タルティーヌやパンに合うお料理をメインにした小さな教室です。
3月。久し振りに群発型頭痛になり、二日間寝込んでしまった。
群発頭痛の辛いところは、頭痛自体の痛みはもちろんだが、
頭痛が収まっても、その間消耗する体力が半端なく、
数日間は全力で動けず、「いつでもまだ痛くなるぜっ」とばかりに余波が残る。
そんな中でも。
とても楽しみにしていた夜がある。
友人が夕食に招待してくれたのだ。
リビングに入ると、いつもはダイニングにあるテーブルが窓際にある。
夕暮れの始まり、テーブルで出番を待つ可愛い器たち。
ぽってりとしたカバーガラス。焼き台。
音楽が流れ、ろうそくに灯る火が揺れている。
「晴れていると、ここから富士山が見えるから」
感激で感激で胸がいっぱい。
いつも花のある空間。
お気に入りの本の『今日のページ』。
彼女の好きなもので溢れたこの家が、
私は本当に好きなのだ。
前菜の『うどのグリル』。
一口食べて、そのホクホクの甘さに「うど」だと分からなかった!!
焼きそら豆の横で小さな好きレットにはホタテ。
目の前で焼くって、それだけでスペシャル感が出るから好きだ。
ぱちぱちちりちり・・・その音がごちそう。
かわいこちゃんも、碁盤のテーブルでお食事中~~~笑
柔らかく煮込まれた大根とモツ。
二枚重ねの皮で巻かれた三種の春巻きや、
グリルで焼かれたたっぷりのお野菜などなど書き切れないほどの料理たち。
どれもこれも美味しくて、一口食べる度に感激。
カマンベールが柔らかく焼けたら、ナッツとたっぷりのはちみつ。
少しずつお酒も話も深くなる。
ろうそくの揺れる灯りを見ながら、
そうかそうかと何度も心の中で思った。
言い表しようの無い、この枯渇した気持ちが求めていたのは、
「今夜のような時間」だったのだ。
会いたい人に会い、笑う相手の口元を見られること。
美味しいテーブルを囲み、たわいもない会話で相手を知ること。
生活に困窮することもなく、感染することもなく暮らすことができ、
もっと大変な人がいるから・・・と、自粛生活に不満なんて言ってはいけないのだと、
いつの間にか自分を戒め、窮屈になっていたのだと気が付く。
教室も休業し、できるだけ真面目に自粛していたら、
心がへとへとになってしまっていた。
彼女からもらった「おもてなしの夜」は、
そんな枯渇してカサカサになった私の心に、
じわじわと沁みて沁みて沁みたのだ。
そして一日も早く、cucin amicaも再会し、
誰かの心に沁みる「おもてなし」が出来たらいいのになぁと、
切に思うのだ。
↑いつも嬉しいクリックありがとうございます!
和食懐石料理教室「手まり」アシスタントを担当する傍ら、
2008.3月さいたま市の自宅キッチンにてcucin amicaタルティーヌ教室をオープンする。
2013.5月自宅近くの小さなアパートメントにて料理教室専用スペース「cucin amica302」をオープン。